専業主婦は2億円損をする
を読みました。
一言で言うと、読んでいて胸くそ悪くなる本でした。特に、この本を読んで得られることはすでにわかっている人、でも色々な事情で働けない人にとっては不倫報道と同じく放っておいてくれ!って感じでしょう。
読んで後悔、というほどではありませんが、買ってまで読んで欲しくない。著者のネームバリューって侮れないですね。でも、奥さんには専業主婦でいてほしい、という男性(でも奥さんの方は働きたい)を説得するのにはいいかもしれません。
本書で、2億円損をする、という根拠にしているのは、短いので引用しますと、
大学を出た女性が 6 0歳まではたらいたとして 、平均的な収入の合計は 2億 1 8 0 0万円です (男性は 2億 6 6 0 0万円 ) 。これは 、退職金は勘定に入っていません 。
…この一文だけです。
ええっ? これじゃ、実態を全く表していないと思い、腰を抜かしそうになりました。働いている人の平均?根拠、それだけ?
いやいや仮にも書籍なんだしそんなわけないだろうと思って、もう一回読み直したんですよ。というか、kindleで2億円で検索かけたんですよ。でもでない。
しかも、著者自ら本書は色々な研究成果に基づいていますが煩瑣になるのでいちいちデータを示したりしませんとエクスキューズしています。かー、腹立つ!
もちろん、タイトルで煽ることで危機感を煽っているので、そういう意味では成功していると思うのですが。
まあ、2億円、というのは他でもよく言及されておりり、雑誌などでよく引用されているのはニッセイ基礎研究所のレポートです。
http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=56140&mobile_preview=2&pno=4&more=1?site=nli
これも、大卒女性が同一企業で定年まで勤めた場合を想定した生涯年収なので、どんだけ母数が少ないんだ!と思って参考にならないなーと思ったのですが…。
現時点で定年までつとめあげている女性って、すごく一握りのエリートだと思うのです。
同一企業で、生まれた子供が健康で、産休育休とってもきちんと復帰できて、保育園にも入れられて、マミートラックからも早々に脱し、介護離職することもなく、ゆくゆくは昇進できた場合の生涯年収ってことでしょう?
それって、宝くじに当たるどころじゃない強運の持ち主なのでは。
そりゃあ、大企業志望と公務員志望の学生が増えるわけです。
ちなみに、中小企業で新卒入社で働き、産休、育休経て復帰、時短じゃないけど残業できなくなり給料が激減、紆余曲折経て現在は通常勤務、の私の場合、・・・定年まで働いても2億稼げる気がしない。うー、今年こそ、資産運用する!
ただのやっかみか。
それでも、今の日本では働き続けられているということがすでに恵まれていると実感しています。
で、内容ですが。
・専業主婦はかっこわるい
・幸福とは好きなように生きること
・賢い女子は「好きな」仕事を見つける
・専業主婦になりたい女子は賢い男子に選ばれない
・専業主婦が愛を失うとき
・賢い女性はニューリッチを目指す
・母子家庭というリスク
内容はともかく、章立てを書き出してみて眩暈がしました。読んでいるときは章立てを読み飛ばしていたので気にならなかったのですが。
それぞれの章を一言で説明しますと、
・専業主婦はかっこわるい
→ 海外にいくとハウスワイフというと場が固まる。専業主婦はもはや絶滅危惧種。だから働け。
・幸福とは好きなように生きること
日本に生まれただけで幸福、自立して生きることが一番。
・賢い女子は「好きな」仕事を見つける
天職をどうさがすか? 職種の区分けはクリエイター、スペシャリスト、マックジョブ(バックオフィス)。ただし日本のサラリーマンはどれにも当てはまらず、正社員と非正規の身分差別がある。天職を見つけるには転職せよ、20代、遅くとも30代までにキャリアパスを描け。クリエイターになれる自信がない人は、医師、弁護士などスペシャリストを目指せ。女性なら看護師もおすすめ。
安定を求める人が公務員を志望するのは妥当。ただ今後より人員削減、多忙になるだろう。
うーーーん、部分部分では頷ける部分もあるんだけど、トータルで何がいいたいのか分からない。
マックジョブとバックオフィスを一緒くたにする雑さ!
・専業主婦になりたい女子は賢い男子に選ばれない
同類婚が増えていく
→ここは珍しく同意できた部分です。
年収1000万円以上の男性と結婚できる確率は低い、それよりも、お互いに800万円稼げば世帯年収は1600万円に。賢い男性ほど、共働き志向の傾向が。
たしかに、身の回りでも医者夫婦や、夫婦ともども大企業勤務の人が多くて、世帯年収高そうだなー、と羨ましく思っています。
そこまで行かなくとも、子どもがいる世帯の10組に1組は世帯年収1千万円以上。すなわち、共働きでしっかり稼ぐ層が多い。
…なのですが、最後の最後に男女では好む仕事も違う、(男性は理数系、女性は文系が得意)とかいうトンデモ理論をぶっこんできて、また卒倒しそうになりました。進路選択のタイミングで、より得意な方を選びがちというのはあるかもしれませんが。
・専業主婦が愛を失うとき
望んで専業主婦になった人は実は少なく、出産を機にマミートラックに入ると、「日本の会社は残業時間で社員の昇進を決めている 」のに耐えられず燃え尽きて専業主婦になってしまうケースも多い。
専業主婦になると、愛がお金に換算されがち、家政婦になってしまう
このあたりについては、逃げ恥に見る〜に詳しそうなので機会があれば読んでみたい。
・賢い女性はニューリッチを目指す
「みんなが幸福になる方法はないけれど 、あなたが幸福になる方法はある 」
子育てを外注する
外国で子連れで働くという裏ワザ
会社で働かないフリーエージェント戦略をとる
生涯共働きが最強の人生戦略
子連れで海外で働く、というのはいいですね。残業も少なそうだし。
・母子家庭というリスク
日本で専業主婦が離婚してシングルマザーになると貧困に陥るリスクが高い。理由は、子供がいて正社員として雇ってくれる会社が少ないから。また、離婚して損するのは女性の方ばかり。
…これは、どうなんでしょうね。生活の不一致とか、色々原因はあるかと思いますが、離婚してもきちんと養育費が支払われるような仕組みを作ればいいんじゃないですかね。働いていると、離婚のハードルは下がるので、ちょっとしたことでも離婚することになるという面もあります。
最近の大学生、若手社員を見ていると、安定志向なのか早々に結婚してDINKSの期間を長くとる傾向にあるような気がする。特に男性。さすが悟り世代…。
いや、でも正しい戦略だなと思ってお局に片足突っ込んでいる私は感心してしまう。
もっといい人がいるのでは?などと移り気にならず、目の前の人を大事にして、自分も相手も幸せになる。
そうだよなぁ、結局それが一番幸せになれるよなぁ。
…と、色々もやもやしたけど、自分の仕事観についてじっくり考えられたという点ではよかったかもしれません。
私自身は、専業主婦の母親に育てられたのですが、子どもの時から専業主婦じゃなくて働けばいいのになぁと思っていて(彼女はかなりエネルギーが高く、単に主婦をやるだけだともてあましているのを感じていいたので)、自分に何が向いているかどうかとかは深く考えないまま、とにかくずっと働きたい、ということは決めていて、年収はともかく、働くということに関しては迷いがなくて。(だったらもう少し、手に職な学部を選ぶとかすればよかったのでは…と思うのですが、あまりそういうことは考えなかったのです)
私が将来ワーママ として働き続けたい人にアドバイスするとしたら、
1.働き続けたい仕事を見つける
2.周りの人の手を借りられる環境づくり
3.家事の省力化
この3つですかね。言ってることはあまり変わらないですが。
1.働き続けたい仕事を見つける/会社選び
仕事内容はなんでもよいのですが、期待値をちょっと上回るアウトプットを出していると、周りが必要としてくれるようなので、今のところ特に特殊技術がなくても居場所ができています。私の会社はいい人が多いからかもしれません。
会社の選び方ですが、人によって重視するポイントが違うのでアドバイスのしようがありません。
環境が整っているであろう大企業のよさもあれば(各種手当が充実しているところは本当に羨ましいが)
制度が整っていない分フレキシブルに対応できる中小企業の良さもあります。
でもまぁ、評価基準が勤務時間で測られない会社の方がいい人の方が多いでしょうね。
個人的には、若くて体力があり、時間もあるときはハードワークで鍛錬したほうが、結局後で自分が楽になるとは思います。例えばコンサルとかリクルートとかで3年は頑張る、的な。最初からゆるゆるだと後で踏ん張りがきかない。
2.周りの人の手を借りられる環境づくり
これは、会社でも家でもですが、例えば会社なら急なお迎えでも対応できるように、いつでも引き継ぎできるように仕事を進めておく、保育園なら急なお迎えに間に合わない!というとき少し預かってくれるママ友、ファミサポさんや病児保育の確保、どうしても残業しないといけないときお願いできる実母と義母…などなど。
私は反省も踏まえてなのですが、自分で仕事を抱えてしまって休日仕事をしてしまっていた時期もあったので、抱えても仕方ないので割り切りが大事だなと思っています。
3.家事の省力化
多くの人がすでに言っていることですが、
洗濯乾燥機、ルンバ、食洗機万歳。
洗濯たたみ機ランドロイド、185万円じゃ手が出ないけど、30万ぐらいだったら欲しい…ドラえもーん!
それだけじゃなく、片付けやすく、散らかりにくい部屋づくり、きちんと不要なものを家から出す仕組みづくり、ものを増やさないためのルールづくり。
欠品補充を夫と共有する、など。
子どもが小学生になってから、とにかくプリントの量の多さにびっくりしました。特に1年生のときは、ほぼ毎日…。
以前はおたよりBOXというアプリを使ってましたが、有料化してしまったため、今は写真でお気にいりにタップするだけにしてしまっています。
なんだかとりとめなくなってしまいましたが、
より楽しく働けるようにするためどう工夫するか、
そして子どもとどう関わっていくか、そのあたり考えて行動していきたいなと思っています。
今はまだ、働く子育て世帯に対するハードルが高すぎて、真面目な人ほど気負いすぎて大変な気がする。もっと大らかに子育てしたいなぁ。