働くハハの暮らしと家計簿

都内で働くワーキングマザーの日記です。

小沢健二ライブ@世田谷文学館

 
 
世田谷文学館のホールで、多分300人ぐらいだったと思う。
招待されていた人、関係者、たまたま居合わせた人(私も含まれる)、もしくは直前でTwitterとかで知って駆けつけた人。
 
最初に謝ってしまうと、私は正直岡崎京子のファンとはちょっと違うし小沢健二のファンとも言えない。アルバムだってLIFEしか聞いたことなかったし(ほんと、すみません)でも好きか嫌いかで言ったら好きである。そして一層好きになった。
 
あの場にいられた幸運に感謝し、帰り道で余韻に浸り。そしてまだ時々思い返しては脳内再生している。1か月、いやもう少し、これで生きていけるなぁ。そして当面の運を使い果たした。
 
 
に詳しいのでそちらを参照していただくとして、
 
大人になったオザケン(というのは失礼な言い方だけど、普段メディアでみないと印象って変わらないものだから、いつまでもつるっとしたオザケンのままなのだ。いや、嘘でした。笑っていいともに出てましたね。)は、ごく自然に歳をとっていた。もちろん同じ年代の普通の人と比較したら明らかに若い。個人的にはもうちょっと太ってもいいと思うが。声もかつてCDで聞いていたPOPで軽い音というよりは、もっとしっとりしていて時に力強く、ちょっとびっくりした。
 
きっと以前からのファンはオザケンの経年変化を含め愛しているのだと思うのだけれど、私にとっては初めての小沢健二のライブ。
しびれますね。だもんで胸に刻んで帰ろうと思って必死でした。
 
他の人も書いていたけれど、
素晴らしいセットリストだった。
初めて聞く曲も、すっと中に入ってきて。
というか初めて聞いた気がしなかった。
 
そしてステージの後ろには会場で撮られた岡崎京子作品が流れている。
 
天気読み。前髪の短い女の子がときどき映るのにはっとする。
 
天使たちのシーン。不思議な曲だ。聞いている間は音で満たされているのに、後からメロディが思い出せない。なぜなんだろう。
いや、イントロとサビは分かるんだけどそれ以外が淡々としていて(歌詞とかすごく好きなんだけど)思い出せない。そのうちこの曲の良さがわかるようになるだろうか。
 
朗読その1。親について、家族について。
岡崎さんと、家族について。資本主義の世界から家族とか、親とかへの変化について。
うーん、うまく説明できないな。
他人なんて存在しないように振舞っていた登場人物を描いていた岡崎さんにも、家族がいて、昔もずっと見守っていてくれていて、今もずっとそばにいてくれていて。家族が大事っていうのとはまたニュアンスが違うんだけど。多分、その年代を過ごした人にしか伝わらないものがあるんだと思う。
 
それはちょっとは、さながら岡崎さんへのプロポーズのようで。会場がおずおずと口にする「それはちょっと」のセリフにきゅんとする。いや、オザケンだって結婚してるんだよな。
 
春にして君を想う。この曲も好きです。
 
神秘的(ものかたりす)。2012年のオペラシティのコンサート時の新曲とのことだったので、おそらく(たまたまこのライブに出くわすことができたうちの)半分ぐらいは初めて聞いた曲だったんじゃないかなぁ。
 
朗読その2。友について。
岡崎作品にも、近くで軽口たたいている友もいるけど、はなれた友が出てくる。
そういった存在が重要だったりする。
はなれた友の大事さ。
 
 
これは私もよく分かる。
たまにしか会わない、でも会えば一瞬で空白を埋められて、近況報告もしなくていいぐらいの、もちろんfacebookとかでつながっているわけでもない友達。彼女の何気ない一言でふっきれたり背中を押されたことが何度あっただろう。ふとしたとき、彼女も頑張っているに違いないと信じられる存在。ただ今は大分お互い大人になってしまったため、お互い頑張ってるかどうかは怪しいけれど。
 
強い気持ち強い愛。この日の中で一番沁みた。祈りと言ってもいい。泣きそうになる。というか泣いていたと思う。
 
ここでゲストが登場。オザケンだけで胸がいっぱいなのに更にゲストまで…!
今までのしっとりした感じから一転、楽しい感じに。
 
流星ビパップ。スカパラ沖祐市さん。
流れ星静かに消える場所、思わず口ずさむ&手拍子。
 
ドアをノックするのは誰だ?同じくスカパラGAMOさん。小沢さんがGAMOさんにソロを振って一瞬間があって会場が笑いに包まれる。でもってソロ。なーんか、一体感があっていいなぁ。
 
このあたりのどこかで、(強い気持ち強い愛のあとだったかな?)盛り上がってきちゃったねぇー、と小沢さんは言っていた。
 
戦場のボーイズ・ライフ。
なにしろ展覧会タイトルが戦場のガールズ・ライフなんだもの、歌わない理由がないのだ。
なんだけど、やっぱりぐっときてしまうよ。
会場がささやく、♪この愛はメッセージ  祈り 光 続きをもっと聞かせて
このうたが岡崎さんに届きますように。
 
東京の街は奏でる。しっとりと歌いあげて終了。名残惜しい拍手が鳴り止まぬも、アンコールなどはなし。
 
とにかく最初から最後まで岡崎さんへの愛がこもったライブでした。
DVDを京子さんに渡すと仰っていたので、もう観られたのだろうか。会場には岡崎一家と小沢一家も見えていたようで、時々緊張して照れているのが可愛らしかった。
 
岡崎さんがたとえ新しい作品を自分自身で生み出すことができなくても、岡崎さんが存在しててくれるだけで救われる人は多分たくさんいて。
 
ちょうどその前日、オリーブのトークイベントに参加していて、その時も感じたんだ。
 
そして人生は続く。
 
ある時代を作り出した人にも、
普通の毎日を送る人にも、平等に。
それがいいとか悪いとかではなくて。
 
ずっと光り続ける人もいれば、
ある時から光るのをやめる人もいる。
かと思えば、また表舞台に燦然と現れたり。
 
80年代の喧騒をリアルで感じられなかったことは未だにすごく悔しく思っているけれど、
その場にいた人は必ずしも幸せばかりではなかったのだろうと思う。
ただ巻き込まれ、消費され、後には何も残らなかったような。
 
そんな中で、岡崎さんや、小沢さんのような、
20年経っても変わらず求められるものを生み出している存在というのは、本当にすごい。
それも、単なるノスタルジーじゃなく、
その時その時に必要なものとして存在しているのが。
 
今だったら何がそれに該当するだろう?
ちょっと思いつかない。
あまりに細分化されてしまっていて、自分が欲しているものになかなかアクセスできない。
 
そうそう、今回の展覧会カタログに小沢さんは文章を寄せている(かなり長文だ)のだけれど、
分かる人には4行で分かるといっていた(…し、その文を言っていたのだけれど、私の貧弱な脳みその記憶を辿れなかったうえ、まだ展覧会カタログ買えてない。)うぅ…思い出せず悔しい。

 

  

我ら、時?通常版

我ら、時?通常版

 

 

 

小沢健二作品集 「我ら、時」

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岡崎京子 戦場のガールズ・ライフ

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