働くハハの暮らしと家計簿

都内で働くワーキングマザーの日記です。

【映画】細田守監督 「バケモノの子 」感想★★★★★

ようやく「バケモノの子」を観てきた。

子どもも楽しんでいたようなので何より。
 
今まで見た細田作品の中で、サマーウォーズと同じぐらい好きです。
サマーウォーズより好きになりそうな予感もある。
もう一回観たい。
 
前作『おおかみ子どもの雨と雪』がちょっと合わなかったなぁという人(私です)にも是非お勧めしたい。というか観て欲しい。だって、前作につづき獣系か(バケモノだけど)…と躊躇してしまう人っていると思うのだ。
 
エンタメ映画として楽しんでよし、子どもも若者も、子持ちにも独身にも刺さる映画なんじゃないかと。とはいえ私の場合、どうしても親目線での感想になってしまうのですが。
 
以下ネタバレを含む可能性があるのでご注意ください。
でもまあうっかりウィキペディアを見ちゃうとか、Twitterで核心的なことをつぶやかれるよりはマシだと思う。
でも、事前情報なく見た方が楽しめると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
<ストーリー>
 
両親の離婚、母親の急死により一人ぼっちになってしまった少年・蓮。(声:宮崎あおい・染谷将太)
親戚から逃げるように飛び出し、あても無く渋谷を彷徨ううちに、一匹の化物・熊徹と出会う。ついていくとそこは化物の世界、渋天街だった。熊徹(声:役所広司)は化物界の後継者争いのため、弟子をとるという条件を課されていたが、性格に難ありで弟子がつかず、人間界に弟子探しに来ていたのだった。
化物達は人間を化物界に連れ込むことに反対だったが、総師さまの許しもあり、弟子となる。他に頼るところのない蓮は、九太という名前をもらい、熊徹に必死でくらいつき、やがて周りも認めるほどの成長を遂げる。
 
やがて17歳になった九太は、ある日偶然に渋谷の街に戻り、女子高生・楓(声:広瀬すず)と出会う。親の期待に応えようと自分を抑制していたすずと、学ぶ楽しさ、同時に自分の育ちに葛藤を感じる九太。渋谷と渋天街を行き来し、人間界か、化物界か揺れる九太。熊徹の次期総師を決める試合の日も迫っていたーー。以下略。
 
バケモノの子は、九太と熊徹の成長物語なことは勿論なのだけれど、親にとっては色々身につまされる映画である。
 
九太は生意気で、教え方が悪いとそんなんじゃ分かんないよ!と反抗し、ひ弱でなまっちょろい。でも、素直で、熊徹に教える能力がないと悟るや自分で学ぶことを選ぶ。
熊徹も、九太によって、育てられていく。
 
また、リリー・フランキー(キャラクターの顔がまんまリリー・フランキー!)と大泉洋が演じる周りの大人達の存在も大きい。いつも優しくゆったり構える豚の坊さんと、茶々をいれる職業不明の猿。他のキャラクターもそれぞれキャラクターがあり、物語に波紋を拡げている。
 
子どもは修行シーンが楽しかったらしく、場内のほとんどの子どもが笑っていた。(他にも子どもがウケる箇所というのがちょこちょこあり。主に動きに反応していた)
 
 
細田守監督は、ジブリの後継者と目されてるだけあって(?:特にソースはなし。でも興行成績とかから言ったら申し分ないと思うのですが)、今の日本で、家族とか、教育とか、子育てとか、もやもやしたところをてんこ盛りにしてなおかつ面白い作品にできる監督の1人だと思う。
 
面白さとは何かっていうと、よくわからないので面白くなかった映画の共通点をあげておく。
 
・論理が破綻している
・セリフが不自然
・表面加工は素晴らしいのに内容が伝わってこない
 
…あたりか?私は批評ができないので当てにならないけど。
 
でもせっかくなので、私が面白いと思う映画の要素もあげておく。
 
・ストーリー、世界観にどれだけ入り込めるか(共感とかは関係なく)
・役者のよさ
 
個人的に、広瀬すずちゃんの声が良かった。ちょっと舌足らずな部分もあるのだけど、そこがヒロインの印象と合っていて、好感がもてた。正直、CMで見るすずちゃんはこってりしていて苦手なのだけど(単に顔の好みの問題で、可愛いとは思う。特に、炭酸飲料MATCHの、江口寿史氏イラストの広瀬すずは凄く好き。あのポスター剥したいほどに。)海町diaryしかり、女優さんってやっぱりすごいよなぁ。
 
勿論、他のキャラクターも素晴らしいですけども!宮崎あおいちゃんとか、おおかみ子ども〜に引き続きだけど、安定のクオリティだし、染谷くんも最初の数分突然低音になって違和感がありつつすぐに九太になり。細田さんのキャラクターは割となで肩で姿勢が悪いなぁといつも思うんですが、それがザ・日本人だからなのか、なんだか落ち着く。
 
ストーリーも、異界との境界が違和感なく、すんなりと入りこめた。川端康成の雪国じゃないけど、渋谷の雑居ビルの隙間を抜けるとそこは化物の世界であった…って、いいですよね。
 
個人的には金曜ロードショー!とかでジブリを定期的にやっていっていつしか共通言語になっていったように、細田作品も定期的にテレビ放映して潜在意識に刷り込んでいって欲しいものだと思う。(既に公開前に3週連続〜とか、やってますけどね。引き続き)
 
細田作品の好きなところは、多様性とマイノリティを認めているところ(キャラ多いよ!って思うことしばし)、包容力があるところ、みんな優しいところ。ヒーロー、ヒロインをはじめ、主要キャラクターがしなやかで芯があるところ、変化していくところ。私にはそう見えるけど、きっと観客それぞれが自分がこうありたいなぁと思う部分を投影して観ているような気がする。その点、ジブリ映画より自由だなぁと感じる。
 
人によって楽しみかたはそれぞれだと思うけど、子どもが大きくなったときに、ふと映画の1シーンを思い出して、何かのヒントになったらいいなぁと思う。
今はまだ、「面白かった!」「へー、どこが?」「全部!」「・・・(ちゃんと理解してたんかな?)」っていうレベル。楽しんではいたのでいいんだけど。まぁ、自分自身映画のあらすじとか説明できるようになったの、結構大きくなってからだったものな。瞬間瞬間を全力で理解して見てるんだなぁと微笑ましい。
少なくとも、私は子育ての日常で、熊徹に自分を重ね、百秋坊、多々良のような傍から見守る人を思い浮かべるだろう。
 
ジブリ映画も、ナウシカは興行収入で言えば14.8億、ラピュタは11.6億である。
公開されたのが80年代であり、まだまだアニメ映画=子どものもの、という意識が高かったせいもあると思う。ちなみにジブリで興行収入1位なのは千と千尋で、304億(2001年)、2位はハウルで196億(2004年)。3位もののけ(193億、97年)、ポニョ(155億、2008年)、風立ちぬ(120.2億、2013年)、アリエッティ(92.5億、2010年)と続く。
 
対してサマーウォーズは16.5億、おおかみ子どもの雨と雪は42億(そんなにいってるのか!)バケモノの子は既に30億を突破し、60億ぐらい突破するのでは?と予想されている模様。
 
うう、ヒカリエで開催中のバケモノの子展も行きたいけど、
今週末で終わっちゃう上に高いよー。
 

 

バケモノの子 (角川文庫)

バケモノの子 (角川文庫)