働くハハの暮らしと家計簿

都内で働くワーキングマザーの日記です。

【読書】保育園義務教育化 古市憲寿著 読了

古市憲寿氏著、『保育園義務教育化』、読了。

古市さんといえば、若手の社会学者として売れっ子のようで、たまにテレビに出たり本もたくさん出されている。けど、あえて炎上するようなことを言うタイプの人なので、本書もどんなものなのかなぁと思いつつ読んだ。

保育園義務教育化

一言で言えば、保育園義務教育にしちゃえば出生率もあがるしGDPも向上するしみんなハッピーなんじゃね?
フランスでも検討されてるしとかハンガリーでも3歳から義務教育だし、日本もやったらいいんでない?という主張です。

合わせて、幼少時に手をかけることが非認知能力の向上に繋がるためコスパがいいよ!という事例を紹介しています。

とにかく、保育園義務教育化、というコンセプトありきで、日本の若者の恋愛事情のくだりでは現状と80年代の若者ををホットドックプレスやananのデート特集、セックス特集を引き合いに出して書いたりしていてその項目いる?っていう内容もあったりなかったりだけど、そこはまぁ古市さんらしさというかなんというか…。
でも、なるほどなと思う部分も多々あり。

・お母さんに優しくない国では子供は増えない
・育児の世界も両論併記すべし
・乳幼児期の教育が一番重要

こう書くと、逆に3歳児神話を後押ししてしまうのではという心配があるけれど、非認知能力(意欲や、やり抜く力、根気、他人と働くために必要な感情の制御など)の向上に関係する、と聞けば、そうかも?と思う人も多いのではないでしょうか。書籍内ではアメリカでの教育実験のデータを引用して説明しています。私自身は幼稚園に通っていましたが、幼稚園出身の子どもよりも、保育園出身の子どもの方が逞しいっていうか図々しいっていうか、我が子を見る限り、ネゴする能力とか、自己主張しないと埋もれちゃうとか、生きる力はつくんじゃないかなぁと感覚的には思います。(小学校に入ってから周りとのギャップに戸惑うんじゃないかという不安と、お行儀とか幼児教室で求められる賢さはイマイチな確率も高いですが…自戒。)

・おうち保育園の拡充
・保育従事者の待遇改善・税金の投入
→ほんと、政治家とかじゃなく保育とか介護とか、直接サービスを提供している人の給料はもっと上げるべき。いくら保育園増やしたって、保育士がたりなくなることは明白。古市さんは、これについても、保育師資格を持っているけど使っていない人材を活用できれば解決できるんじゃないか、と提案しています。が、どうだろうな…合わせて、保育職の地位向上も行うべき。保育って、すごく奥深いし、ほいほいと生半可な気持ちで務まるものじゃないもの。最近の親は問題も多いし…。

・里親の条件の厳しさ、旧来の家族観とのズレ
・日本の制度は一人っ子政策をしてるようなもの

などなど。とにかくサクッと読めるので、今の日本の保育園事情やら、少子化対策、年金政策等々興味がある人は読んでみてもよいと思う。

あとがきには超タイトスケジュールで刊行されたことが書かれているだけあって、正直荒っぽい&カジュアルなつくりになっている。ただ逆に、最新情報が盛り込まれているとも言える。()内に古市さんの心の声だだ漏れさせすぎじゃ?って思うけど…。

『幼児教育の経済学』、『学力の経済学』という比較的最近発売になった書籍の内容まで語られている点はお得である。
というよりむしろこの2冊の内容が気になる…!近々読むリストに加えます。

「学力」の経済学

幼児教育の経済学


確かに古市氏が言う通り、まだまだ働く母に対する「何なのこの無理ゲー?」感は強い。
あのねー、なんでもかんでも母に背負わせんといて!とは思うけど、保育園で預かってもらえるだけで有難いと思うので(子ども1人に対し、保育料の何倍ものコストがかかっているうえ、私が1人で育てるよりずっとちゃんと育てられてると思う)あんまり主張しても余計叩かれるだけやし…と母は思う。

子どもをもつことで得られる幸福が、今はすごくハードルが高いものになっている。私はたまたま子どもがいるけど、タイミングによっては結婚してなかったかもしれないし、放浪したいって会社を辞めてふらふらしたり、大連あたりで非正規のオペレーターなんかをして過ごしてた可能性だってある。(かなり真剣に検討してた)

かかるお金の個人的なコストだけで考えたら、そりゃ1人の方が自由だし気楽だし、DINKSの方が豊かですよ。でも、中にはそもそも健康上難しい人もいれば、不妊治療もしたけど諦めた人もいれば、いろんな人がいる。それを一括りにするのは難しい。

子どもの格差拡大を防ぐ、という観点でいえば保育園義務教育にするのは賛成だけど、あくまでセーフティネットという意味合いになるのじゃないかなぁ。(そして結局財源がないって見送られる…)
ともすると、子育てに自信があってお金もある人は、なおのこと自分で育てたい、アメリカみたいにナニーを雇ったりする流れもあるかも。

日本でも、ベビーシッターがもっと手軽に利用でき、高校生・大学生のアルバイトの定番になればいいと思うんだけど。特に教育系の学部は必須科目にするとか。そうすれば、生の子どもの生態が理解でき、将来の子育てにも活かせる。
働く母は助かる。

子育てって、当事者でさえ、喉元過ぎれば熱さを忘れるじゃないけど、待機児童やら、小1の壁やら、ハードルを越えたらコロッと忘れてしまうのだ。病気や介護と違って一過性のものでメンバーが入れ替わってしまうから、なかなか情熱が続かないことも一因なのではないかと思う。ステージ毎に全然別の問題があるし!PTAとか??

小説だけど、『7人の敵がいる』を読んで、恐ろしい世界に来てしまったものだと思いました。

七人の敵がいる (集英社文庫)


正直、私は現時点で2人目は考えてないし、周りで2人以上育てているワーキングマザーを見るとそれだけで尊敬する。
新生児を見たり、育休・産休の充実した時期を思うと、もう一人と思わないでもないが、それ以上に復帰後の肩身の狭く、時短なんかにした日には稼ぎも雀の涙なのにあくせくした日々を思い返すと少なくとも今の職場では難しいな、と思ってしまう(同じ職場でも2人目を産んでいる人もいるのであくまで個人的な意見です)

でも、それを職場環境のせいにしている点がそもそも間違っているんだよね。私はフェミニストではないけど、「個人的なことは政治的なこと」というセリフが頭の中でこだます。

こういう問題に、フローレンスの駒崎弘樹さんや、古市さんなど、男性が積極的に声をあげてくれることを本当に有難く思う。

結局、少子化対策とかいって国も女性を持ち上げたりするけど、単に女性の視点からみた意見というバイアスがかかっているように思えてならないのだ。そうじゃないのに!(あくまで主観です)

で、なんか声高に言っても結局ほとんど政策に反映されないし。
本書内でも書かれているし、何かのデータでも出ていましたが、女性雇用を引き上げるだけでGDPにかなり(何%だったかな?忘れた…)寄与するっていう。
データはないけど外に出て働くってなると服もいるし家事の外注やら中食が増えたりルンバやら食洗機やら乾燥機つき洗濯機やら便利な家電を買ったり、たまの休みは奮発したり、ストレス発散で衝動買いしたり、そりゃしますよ!

若者は選挙に行かないから政策が高齢者よりになるっていうんなら、高齢者は選挙権を返還できることにしたらどうですかね。
「ちゃんと老後に備えて貯金もしたし、若い世代に資本を分配していいよ」みたいな。その代わり、なんか免除しますよ、とか。

なんだか取り留めないけど、
近い将来タイキジドウ?なにそれ?って世の中になりますように。

おわり。